東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



印鑑の文字、篆書のひらがな

2010年07月02日 印鑑の文字

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日、7月1日と今日の2日は天気はなんとか持ちそうです。外へ出歩くにしても雨が降っていると何かと不自由なものです。

前回のブログで「ゝ」の記号について書きました。今回はひらがなの篆書(てんしょ)について私見を書いてみます。普段仕事で使う『篆刻字林』にひらがなやカタカナ、さらに国字と言われる「辻」や「峠」といった文字は出ていません。国字の場合は、部首ごとにうまく組み合わせれば、漢字と同じような篆書が出来上がります。

ひらがなは、飽くまで“篆書風な、ひらがな”という作風にして同じ印に存在ずる漢字とバランスを取るしかありません。基本的に篆書の線質は水平、垂直です。横画は楷書のように右肩上がりにならずに、水平です。詳しく言うと、小篆調の線ならやや上反りの線で、大きな橋を横から見たような線質です。下に例で出した一番左の「あ」の第一画の横画も、水平の線質になっています。第二画の縦画は、MS明朝の「あ」(一番右)のようにすぐに右に曲がることなく、かなり下まで垂直の線質で来てそれから右に折れています。

起筆の表現を見ても、右の二つは露峰(ろほう)ですが、左端の篆書は蔵峰(ぞうほう)のため、筆の穂先が露(あらわ)に出ていません。

人の顔と同じように、文字にはそれぞれに表情があり面白いものです。印を作る職人として“美人の顔、美形の印”を作りたいと思っています。


▲書体は、右からMS明朝、HGP教科書体(楷書の一種)、篆書です。
篆書は、『常用漢字印章字林』巻末から抜粋しました。



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