東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

花押を記した遺言書は無効

2016年06月11日 印鑑の歴史

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

先週の3日の金曜日、最高裁の判決で手書きの「花押(かおう)」の遺言書を無効とする初判断が下されました。遺言書に関する規定、民法968条にある『押印』(ハンコを押すこと)に花押を書くことが該当するか、どうかが争点でした。一、二審では、「花押は偽造が困難で、印章(ハンコ)としての役割が認められる」として、遺言書を有効と判断していました。遺言書を書いて花押を書いた方は、琉球王国の名家の末裔、沖縄県の男性の方でした。土地の相続をめぐり、次男×長男と三男で争っていました。

最高裁の判断は、「花押を書くことは押印と同視できない」で花押は自署(手書きのサイン)の延長という見解です。花押は筆で書く(自署)することが基本ですが、下記の文章(Wikipediaより抜粋)のように、鎌倉時代から花押型(かおうがた)といってハンコに彫って墨で押捺する方法もありました。もし、この裁判の遺言を書いた人が花押型で押捺していたら、どうかな?と思います。それでも、最高裁の判断は同じだったかもしれません。

「印鑑登録申請書」に実印として登録できない印鑑として、「外枠のないもの」「文字の判読のできないもの」(文字の判読できないは以前にあったが今は無い)という説明があります。
花押型には外枠がないので、最高裁の規定する「印鑑、ハンコ」ではないのでは、と思われます。

極端な言い方になりますが、ならば100円ショップで買った印鑑(外枠はある)ならば、遺言書は有効になった可能性もあります。民法の968条には「実印」の規定はありません。
 第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。  
『印』という表現で「実印」とは書いていない。

当店では、花押印(上記で言う花押型)の注文も受けております。今回の最高裁判決を受けて、接客時には「重要な文書には押捺しないで下さい。」という説明が必要かと思いました。
または、「花押印は自署の延長だから、さらに外枠のある印鑑を捺して下さい。」の助言が必要です。

≪以下はWikipediaより≫
戦国時代になると、花押の様式が著しく多様化した。必ずしも、実名をもとに花押が作成されなくなっており、織田信長の「麟」字花押や羽柴秀吉(豊臣秀吉)の「悉」字花押[2]、伊達政宗の鳥(セキレイ)を図案化した花押などの例が見られる。家督を継いだ子が、父の花押を引き継ぐ例も多くあり、花押が自署という役割だけでなく、特定の地位を象徴する役割も担い始めていたと考えられている。花押を版刻したものを墨で押印する花押型(かおうがた)は、鎌倉期から見られるが、戦国期になって広く使用されるようになり、江戸期にはさらに普及した。この花押型の普及は、花押が印章と同じように用いられ始めたことを示している。これを花押の印章化という。
江戸時代には、花押の使用例が少なくなり、印鑑の使用例が増加していった。特に百姓層では、江戸中期ごろから花押が見られなくなり、もっぱら印鑑が用いられるようになった。


▲東京新聞6月4日(土)の記事です。右上にあるのが花押です。




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