東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



使い切り近くの朱墨

2013年12月29日 徒然(つれづれ)なるままに・・・

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今年もあと2日になりました。このブログが今年最後のブログになります。ご愛読いただいて来た皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

長年、(おそらく10年近いと思う)使ってきた朱墨がいよいよ指先でも、つまめなくなってしまいました。近くの大きな文具屋さんに買いに行ったら、朱墨汁液(書道の先生が修正用に使う)はありましたが、手で摺る(する)固形の朱墨はありませんでした。文具店の店員さんが「向かいの額縁屋さんならあるかもしれませんよ」と教えてもらい行ってみたら、すぐに出してくれました。行きつけの書道用品屋さんにはありますが、やや遠くて寒い中を自転車往復するが気持ち的に億劫で、買いに行くのが伸び伸びになっていました。

朱墨は主に印材の印面(彫刻をする面)に塗って使用します。黒の墨で文字を書く前に朱で印面を塗っておきます。文字部分が黒なので、彫るときは朱の部分を彫っていくことになります。また、荒彫りの終了後に仕上げの作業をする時に、黒水牛、黒(こくたん)檀など、黒の印材には朱墨を打って、仕上げをします。つげ材や象牙材なら黒い墨でよいのですが、黒の印材だと朱でないと文字がはっきり見えてきません。

私の場合、朱墨は墨打ちの道具を使わないで右手の薬指で墨打ちしてきました。指の先の感覚で練具合がよくわかるからです。練れていない、あまり水っぽい状況だと具合がよくありません。

欠片(かけら)になった朱墨を見て「よくここまで使い込んできたものだ、ありがとう。」と朱墨に感謝しました。同時に今年1年、何とか元気で働けたことを感謝したいと思います。


▲竹物差しの中央にあるのが使い切り近くの朱墨です。
左端にあるのももうすぐ寿命の黒の墨です。短くなったので
竹のはさみ器具で挟んで使っています
右端は新しく買った朱墨です。


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