東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



印鑑の字入れ

2008年11月13日 印鑑の文字


──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

印鑑の作成で初めに行なう作業は「字入れ」と言われるものです。
写真は字入れに使う道具一式です。

どの材料にしても、素材にいきなり文字は書きません。トクサ板という板で印面を平らにしてから、朱墨(しゅずみ)で下地を赤く塗っておきます。そして、L型の地割器とライン引きを使って地割(じわり)線をひきます。2文字なら2つのブロック、4文字なら4つのブロックを前もって下書き的にライン引きしておくわけです。

そして、0.3ミリのシャーペンで文字の骨格を下書き、毛筆で文字を書き入れる、という作業です。
もし線が太すぎたり、少々線を動かしたり、なんていう時は朱墨を消しゴム代わりに使って修正していきます。そのために、黒墨(くろずみ)は薄く擦(す)ります。紙に書くときのように濃く擦ると、修正時に黒墨の跡が残りやすくなります。
見習い修行時代、よく師匠から「これじゃ墨が濃すぎる」と言われたものでした。

下の写真は、もうすぐ無くなりそうな墨です(本日撮影)。手ではもう持てないので竹製の墨バサミを使っています。いつから使い始めたのか記憶にありません。

このように、もうすぐ竹でも挟めなくなりそうな墨、3つは机の引き出しの中にあります。


▲字入れ用の道具。右端は水差し。硯の上のサイコロのような物は墨打ち(印面に墨を乗せる)



▲高さ、5ミリまで短くなった墨


楽善堂のホームページ
https://rakuzendo.com


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