東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



印面の墨

2015年01月09日 店舗経営 接客

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

遅ればせながら、新年、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
今年、初のブログになります。毎週、金曜日にブログを更新しています。店での接客で感じたこと、新商品の紹介、文字へのこだわりなど、などを書いてゆきたいと思います。

年初に象牙印の彫り直し(リフォーム)のご注文を一人のお客様か三本、いただきました。早々にありがたいご注文です。お預かりした象牙印材の印面(文字を彫ってある部分)を拝見したら、墨が文字の上に残っていました。木製のつげ材以外の印材は、納入する前に墨をきれいに落とすのが、正しい方法です。ただ、墨を落としてしまうと文字が分かりにくくなるという点がありますが、墨が落ちているから、朱肉がよく印面に付きます。つげ材の場合は、墨を水で落とそうとすると、水分が印面から中にしみこんでしまうので、墨を落としません。水が混じるとぼやけた墨色が印面に残ってしまいます。

印鑑の制作工程で、荒彫りの後に墨打ち(すみうち)をして、次の作業の仕上げをします。仕上げで、線を滑らかにして、筆意表現を出していきます。そのために、墨打ちをして文字がはっきり分かるようにします。仕上げが終われば、墨をきれいに落とします。印面の底や彫刻文字の壁部分に墨が残る場合は、ブラシで洗い落としています。

一昨日、象牙の印鑑を2本、当店に持って来られて、「どうもよく綺麗に捺せない」というお客様が見えました。拝見すると、印面に墨が残っていました。墨の様子から、かなり、年代が経っているようでした。濡れた布で印面を数回拭いて、墨を取り去りました。その後は、きれいに捺せるようになりました。私が彫った仕事の印鑑ではありませんでしたが、お代金はいただきませんでした。名刺のご注文のお客様でした。

もし、印鑑を捺す時に朱肉の乗りが悪くて、紙に鮮明な印影が出ない時、印面の墨を濡れた布、またはティッシュペーパーで拭きとると、解決する可能性があります。黒水牛の印材の場合は、黒でなく朱墨が打たれたままになっていることもあります。最後に乾いた布やティッシュペーパーで、印面の水分も拭き取って下さるとよいです。


▲店内に飾った鏡餅です。毎年近くの米屋さんが持ってきてくれます。
本日片づけました。ここは普段は私の一級技能士の賞状が飾られています。


八王子 印鑑 楽善堂のホームページ https://rakuzendo.com

楽善堂の印鑑リフォーム専用ページhttps://inkan-reform.com

楽善堂のレア物印鑑・象嵌(ぞうがん)細工の象牙印鑑https://rakuzendo.com/shohin/shohin017.html




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