──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
一昨日の15日あたりから猛暑日になりました。電話は掛かりますが、ご来店のお客様は少ないようです。
14日(土)に横浜市からのお客様が見えました。リピーターの方で昨年からで4回~5回お見えになっています。象牙の印鑑をご注文になります。仕上がりを宅急便で送ることもありますが、取りにお見えになることもあります。
このお客様、全国の印判店(はんこ屋)を80軒ほど、仕事の出張時に立ち寄り、注文をしたのは10%の8軒くらい、そして、2回以上の注文を出したのは5%の4軒ほどというお話でした。ありがたいことに、私の店はこの4軒の中に入りました。
ここ数年来、注文の印鑑は無地(上のしるしを示す凹み、または銀の長方形マークなどが無い印材)が主流になってきました。ところが、このお客様は、印判店に行って「丹鞘で中輪の細字篆書」というご指定をなさるそうです。丹鞘(たんさや)の丹は金または銀で上のしるしとなる長方形のマーク、鞘は印材の本体に付けるキャップのことです。「丹は金丹がいい。」などと言うと、パートで勤めている店員さんには難色を示されるとのことです。
中輪(ちゅうわ)の細字篆書は戦前から昭和30年代くらいまで主流だった作風で、外枠が太く、文字が細い篆書です。今は外枠が細くて文字が太い篆書が主流になりました。中輪の細字篆書は、現代では会社で使う正方形の角印にその作風が残っています。
実際、お話をしていて、お客さんと話していてる、というよりも同業のはんこ屋と話をしている感覚になります。と言うのは、業界の専門用語がさらりと出てくるからです。80軒くらいのはんこ屋を回っているうちに、自然と業界の専門用語を覚えられたのでしょう。
「わがままばかりを言いますが」と、このお客さまはおっしゃますが、印鑑について詳しい、こだわりを持っているお客様は大切に長くお付き合いさせていただきたいものです。
▲国立劇場の校倉作りです。昨日、観劇に行きました。
本文とは関係ありません。
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