東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



江戸時代、古文書の印鑑

2014年08月29日 印鑑の歴史

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今週になり急に秋らしくなりました。小雨模様の天気で気温も低くなりました。
先日、名古屋市にお住いの女性(自称:学問大好き、の方)から下記の文章をFAXでいただきました。ブログ掲載に許可をいただけたので、ご紹介させていただきます

『楽善堂さま
「江戸時代の石印、判読」をネットで読ませていただきました。興味を持って読ませて頂きました。

わたしは趣味で、江戸時代の古文書を解読しております。現在、1800年代の、ある村民の系図を記録しています。毎年の、記録があるわけではありません。数年飛んでいたりします。
親の名を息子が名乗っています。息子がいないと聟(むこ)を取っています。
  (中 略)
そこで、印鑑が大事な役目をはたしてくれました。1817年度を調べているとき、幸いなことに同村の慶応3年の資料がありました。その弥平次さんの印鑑が、50年を経た印鑑とピッタリ一致しました。

印鑑に、そんなに長い寿命があるとは思えません。同じ印鑑を作って使い続けていたのでしょうか?

是非、ご意見をお聞きしたくてFAXを、送信させていただきます。ご連絡をいただければ、幸いです。』

以上のような内容でした。FAXを読んですぐにお電話させていただきました。まず私からお伝えしたことは、印鑑は50年以上は楽に持ちますよ、ということです。毎日、10回以上の捺印を繰り返していたら5年も持たないかもしれません。おそらく、大事に保管して必要な時だけ(年に一度くらい)捺印していたのではと思われます。

念のため、業界で出している教則本『印章彫刻技能士必携』を紐解きました。「日本における印章の歴史」江戸時代の印判の箇所に「百姓町人は、以前は印判を大家や名主に預けて置いたようです。これは印判を大切に取り扱うためと、印判を必要とする場合は、必ず大家や名主の指示、添え印を要するためです。」とありました。

江戸時代の庶民は印判を個人管理でなく、大家さん、名主さん預けていました。頻繁に捺すことは無かったと思います。

話を現代に戻します。私は店でお客様には「実印は紛失しなければ30年以上持ちます。」というご説明をしています。昨年、戦前にお宅で作った印鑑だよ、と言ってご持参されたお客様がありました。70年程経っています。



▲江戸時代中期以降から明治維新位までに庶民が
使用した印鑑です。現在とは作風がかなり違う印鑑もあり
また、正方形の角印もあります。


八王子 印鑑 楽善堂のホームページ https://rakuzendo.com

楽善堂の印鑑リフォーム専用ページhttps://inkan-reform.com

楽善堂のレア物印鑑・象嵌(ぞうがん)細工の象牙印鑑https://rakuzendo.com/shohin/shohin017.html






コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
内容をご確認の上、送信ボタンを押ししてください。