──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
普段、仕事に使っている墨がいよいよ短くなり、使いにくくなってきました。指で持ちきれない位に短くなると、竹の墨挟(はさ)みを使い、さらに短くなって竹の下端が硯をこするようになりました。墨の高さ(3ミリ)よりも、奥行き(9ミリ、墨を真上から見た時、長方形の短い一辺)が長くなったので、90度立てて、墨挟みで挟みました。通常の止め方だときとんと抑えられないので、輪ゴムを下端に巻いて、何とか、摺(す)れるようになりました。その後、使っているうちに9ミリが5ミリ位になってきました。
印鑑の彫刻作業の中で、荒彫り(あらぼり)を終えた後に、墨打ち(すみうち)という作業があります。黒い水牛の印材は朱墨を打ちますが、木材のつげ、白水牛、象牙などは黒の墨打ちです。荒彫りの後の仕上げの作業で、文字をはっきり見せるために墨打ちをします。他には、和封筒のお客様のお名前を筆で書いていますが、この時も墨を使っています。ノートパソコンが机の上にありながら、その5センチ横に硯と墨があるという光景です。ノートパソコンは普段は机の下に置いていて、必要な時だけ机に乗せます。
墨と朱墨とも新しいものを用意してあり、もうすぐ、古い墨は使わなくなります。でも、今まで、処分したことはなく、なぜか机の中に大事に保管してあります。自分の歩んできた職人人生と一緒にいてくれた“墨”という思いがあります。
▲左上から墨挟み、出番を待つ墨、朱墨、
右上から勤めを終えた墨と朱墨たちです。
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