──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
先日こんなお客様が見えました。「○○県の△△市でこんな実印を作ったんだけど字が気に入らないので作り直して欲しいんだけど。」拝見したら文字に間違いがあるわけでもなく、書体が古印体といって、既製の印鑑に使われている書体でした。判読しやすい書体です。もちろん、同じ古印体といっても、既製の印鑑とオーダー印鑑の古印体では文字の質が違いますが。
詳しくお話を伺ってみると、実印を注文したら書体の見本帳を見せられることもなく、書体はお任せ受注で、仕上がったのが古印体だったそうです。私の接客の場合、まず書体の見本帳をご覧に入れて「お好きな書体でお作りいたしますが、実印にお薦めは篆書か吉相印体です。」というお話をいたします。「ご本人様には彫ってある文字はわかりますが、他の人がパッと実印を見て、なんて彫ってあるの?と判読できないくらいの方が実印らしくてよいものです。」とお伝えします。
まず、お客様のお好み、お気持ちが大切、しかしお客様にとってはよく分らない、という場合もあります。その次には専門店としてのお薦め、ご提案と説明が大切、と思っております。
▲古印体の書体です。読みやすいですが実印には
あまり薦めではありません。仕事印向きです。
▲篆書です。「中谷好秀」と彫ってあります。
とくに下の名前、好秀が読みにくいですね。
▲吉相印です。「岡田孝治」と彫ってあります。
孝治の「孝」はわかりにくいですね。
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