東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



江戸時代の印影を解読

2018年01月26日 お知らせ

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

先日、お客様から下記のようなメールをいただきました。

『先祖調査をしておりまして、江戸時代の印影を見つけたのですが、篆書体というのか、印相体というのか、文字がクネクネと曲がっており、読み方が分からず困っております。インターネットで読むコツなどあるのだろうかと調べているのですが、いまいち分からないというのが現状です。
そんな中、楽善堂様のブログを拝見しました。江戸時代の印影について書いてありましたので、もしかしたら江戸時代の印影の読み方を知っておられるのではないかと思い、問い合わせをさせていただきました。
有料で印影を読んでくださるようなサービスはやっておられますでしょうか。よろしくお願いします。』


「お代金はいただきません、でも判読できない字があった場合はご勘弁下さい」とお返事して江戸時代の印影を添付のファイルで送っていただきました。幸いに4文字とも判読できました。手書きで説明を書いて漢文の読み下し文を書きました。左上の文字「兀」こつ、は簡単な字ながら、知られていません。元気の「元」の字の上の横画のない字です。「篆刻字林」はんこ屋が主に使う篆書の辞書には「タカシ、タカクシテ平」と説明されていました。このメールを送った後、意味は?と問い合わせをいただいたので、下記のようにお返事しました。


印文の意味ですが、
「是兀き辺を召す」
高い場所をを招き入れたいものだ、程度と思います。
「是」は強めの語句です。



その後に、このお客様から以下のようなメールをいただき、大変嬉しく思いました。お代金はいただきませんでしたが、私の小さな功績を認めていただいたことは有り難いことです。

『今回も丁寧な回答ありがとうございました。大変感謝しております。
落款印、引首印と知らない事ばかりで勉強になりました。

仰る通り、○○○○さん(お客様のご先祖の方の名前)は大きな川沿いの低地に住んでおりました。
職業は農業だったり漁業だったり水運だったり色々あったようです。
水害にも多かった事と予想します。高い土地が欲しいということで納得できました。
印文からそのようなことが分かるとは驚きました。プロはすごいですね。

全く読めなかった印影の文字の解読だけでなく、意味が分かってスッキリしました。
本当にありがとうございました。』

コメント

  1. 善応 より:

    左の字は房だと思います。

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