東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



印鑑の文字(8) 古印体(こいんたい)

2008年09月18日 印鑑の文字


──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今日は印鑑の文字(8)、古印体(こいんたい)です。
100円ショップでも売られている既製の印鑑は、ほとんどが古印体で作られています。
ただ、同じ古印体でもご注文で(オーダーで)作った印鑑の古印体は、見映えは全く違ってきます。同じ線の中に太い、細いがあり文字の交差部分は“墨だまり”という古印体特有の、のったりした表現部分があります。

砂を手の中に持って少しずつこぼしながら字を書いていくと、交差の部分は2回砂が落ちて砂の量が多くなりますね。その感覚でできたのが“墨だまり”です。交差部分以外は例えて言うとチョコレートでできていた文字が融けて円(まろ)やかな線質が出来た、という感覚です。

この古印体、中国にはありません。江戸時代の末期に幕府御用印師が、今まであった寺社の印を参考に考え出しました。篆書(てんしょ)と違い読みやすいのが特徴、しかも味があります。通常の古印体は隷書古印体で、隷書を基本に古印味(こいんみ)を加えたものです。

▲「田」字の中の十文字の交差部分、外枠との接点が“墨だまり”


下の作品は「楷書古印体」です。横画の右肩上がり、縦画の太さなど、楷書の特徴は残しつつ、古印味が表現されています。

▲楷書古印体、普段の仕事ではほとんど作らない

古印体は、仕事印として職場で使う用途にオススメです。誰からも判読してもらえる書体だからです。


楽善堂のホームページ
https://rakuzendo.com


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