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先月、横浜市のお客様からいただいたご注文で、印影の中心部だけが印字できない不具合を修正する仕事がありました。中心部が凹(へこ)んでいるために、外枠と外枠に近い文字部分しか紙に印字できません。
当初、メールでご相談をいただいていたので、場合によっては、彫刻面にトクサ板(彫刻する面を平面に調整するための板状の紙やすり的なもの)を掛ければ、修正ができると思いました。これで完了すれば、修正のお代金は1100円です。
送られて来た白い水牛にトクサ板を掛けてみても、凹みは直りませんでした。かなり中心部が凹んでいました。止む無く、一度平面にして、現状と同じような書体、作風で再度、彫り直しました。
黒い水牛、白い水牛の印材の場合、芯持ち印材といって中心に近い部分に角(つの)の芯が通っているので、芯の部分が凹みやすい性質があります。印鑑職人は彫る前に、中心部をやや中高(なかだか)に印面調整します。今回の凹みの原因を考えてみると次の2点が考えられます。
1.卒業記念の印鑑だったので、たくさんの本数があり、印面調整が十分にできないまま、彫刻してしまった。
2.印鑑をもらった当初は、凹んでいなかったが、使用しているうち、年月が経つうちに中心部が凹んでしまった。
実際、印鑑職人としては、長くお客様が使うことを考えて、水牛印材(黒・白あり)の場合は、中高(なかだか)に意識的に調整します。どの部分が印字できなくても不具合ですが、仮に輪郭部分が紙に印字できない場合は、ひらがな「の」の字を書くように印鑑を捺せば、印字可能です。ところが、中心部が印字できない不具合は解決が難しくなります。印鑑が用紙にまだ、付いている状態なら、そっと机の端から動かして、下から指で中心部分をなでる方法です。
今回の印面調整の仕事で、水牛、特に白い水牛は中心部分が凹みやすいことを改めて実感しました。
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