──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
今日は前回に続いて印鑑の彫刻の「仕上げ」作業についてお話したいと思います。
「荒彫り」が終わったあとに仕上げの仕事です。
荒彫りだけの仕事だと、線質がギザギザしていたり起筆、送筆、終筆の表現が十分にできません。筆を打ち込んだ箇所の起筆、筆が走っているので細くなる送筆、筆が抜けていく終筆、この表現を仕上げ刀で作っていきます。紙に筆で書くことを仕上げ刀で表現するわけです。行書の作品だ虚画(きょかく)といって、次の線の起筆に筆を運ぶまでの気脈を糸のように細い線で表現します。この虚画などはまさに仕上げ刀でないと表現できません。
機械でも印鑑を彫れる時代になっています。ただ機械でできるのは荒彫りまでで、仕上げの仕事は、職人の腕でないとできません。
印鑑の外枠が欠けることがありますが、これも機械で彫って初めから外枠が細いためです。
丁寧な仕事は、荒彫りで外枠を太く残しておいて、仕上げで細くします。断面でみると文字側が土手になっているので、外から衝撃を受けても丈夫に作られています。
お客様には分からないかもしれないけれど、長持ちする品質の高い印鑑作り、これが職人の目指すものです。
▲仕上げの道具。荒彫りの後、とくさ板(ピンク色)で印面を平に調整、歯ブラシで粉を除去、少量の水を硯に入れて墨打ちをする。サイコロのような物が墨打ち。鏡に印面を当てて曲がりが無いかを確認しながら仕上げ刀で線を作っていく。左端の茶色の球は棒台。印鑑を挟んだ挟み木を置く。手垢で汚れている。
楽善堂のホームページ
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