東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



未彫刻印鑑(ルチルクオーツ)に彫刻

2024年02月10日 お知らせ 印鑑の素材

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 先日、横浜市のお客様からルチルクオーツの印材(印鑑の材料)をお預かりして彫刻させていただきました。ルチルクオーツとは、透明度の高い水晶の中に金色の糸に見えるものがたくさん入っている水晶です。金色の糸は針状結晶(ルチル:金紅石)です。まだ文字が彫られていない未彫刻の状態でした。印面(これから文字を彫刻する部分)を拝見したら、残念ながら二ヶ所に小さなキズがありました。キズに見えるだけかと、朱肉を付けて押捺したら、紙に細い線が見えました。このまま彫ってしまうと、文字部分に細い線が表現されてしまうので、印面訂正をしました。

 印面訂正とは、彫刻面がしっかりと平面になるように調整することです。文字がすでに彫ってある場合、同じく印面訂正をして一度平面にして、新しい文字を彫れるようにします。今回の場合、針状結晶のルチルが印面部分で落ちてしまい、細い小さなくぼみ、キズになってしまったようです。お客様には、メールして文字彫刻料金の他に、印面訂正料金、1,100円がかかることのご了解をいただいて仕事にかかりました。印面訂正をして印材が短くなりますが、短くなるミリ数は文字がある場合で0.5ミリ?1ミリ未満、キズを除去の場合は、キズにもよりますが、たいていの場合、0.3ミリ程度です。

 印鑑は素材、水晶、象牙、黒水牛などに何を選ぶか?も大事なポイントですが、さらに大事なのは、仕上がった作品を押捺した時に、紙にどのように印字されるか? です。綺麗な印影が出ること、文字も線にキズがないこと、ギザギザの線質がないこと、などが重要です。

▲お預かりしたルチルクオーツ印材です。分かりにくいですが、矢印部分が細いキズになっていました。一度朱肉を付けたので、少し赤くなっている部分です。
▲当店に在庫の水晶印材です。左から
ルチルクオーツ(ルチルは金色でなく白系)、通常の水晶(ルチルなし)、
八角形の水晶、六角形の水晶、です。お値段は直径12ミリで姓のみの場合で、
ルチルクオーツ、32,500円(税込)、通常の水晶で28,500円(税込)です。極上牛革の印鑑ケースが付きます。


コメント

  1. 岡部綾子 より:

    この度は印鑑のお直し引き受けていただきありがとうございました。
    昨日無事に届きました。
    素敵な文字に仕上がっており大満足です。
    お願いして良かったです。
    大切にしたいと思います。

    • inkanreform より:

      拝復 岡部 様
      コメント、ありがとうございます。
      素敵な文字に仕上がっており大満足、と書いて下さり職人冥利です。
      今後とも、よろしくお願い致します。 店主 拝

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