東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



象牙の正方形印材に丸形印を彫るリフォーム

2019年04月27日 お知らせ

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

面白い仕事をさせていただきました。印鑑のリフォームで象牙の正方形印材の頭部に円形が作り、その円形の中に4文字を彫る仕事です。お父様がこのような彫り方の実印を使っていらしたので、お客様ご本人も同じスタイルの実印になさりたい御希望でした。一度、印面(彫刻面)を平面にしてその後に、写真であるような形を作ります。円形の外側部分は、中側よりも深く彫りました。傾けて押捺した場合に円形の外側部分に朱肉が付いて紙に不要な線が付かないためです。

関西地方にお住いのお客様でした。三軒のはんこ屋さんで、この仕事を断られてしまい、私の店に注文をして下さいました。お客様からお礼のメールをいただきました。拝読して職人冥利を感じました。メールの文章の掲載許可をお客様からいただけたので、載せさせていただきます。彫った印鑑をお送りした後に、受け取ったお客様から下記のようなメールをいただけたこと、大変嬉しく思います。

《下記はお客様からのメールです》
平澤様

お世話になっております。○○(お客様のご苗字)です。
本日、代金引換で受け取りました。

紛れもなく父の形見の実印です。特殊な形状であることから
3店舗から彫り直しを断られ、実店舗においては対面で
「引き受けるお店はまず現れない」とまで言われた印鑑の彫り直しを
お受け頂き本当に感謝しております。

数々の付属品も大変有難いです。
元々のソフトケースの朱肉交換、更にハードケースも付けて頂き
持ち運びの際の不安も解消されました。
特に彫り直し前の父の印影を紙に残して頂き、良い思い出品になりました。
しっかり見るのはこれが初めてだったのですが、ハシゴ?だったとは。
役所が間違えたから良い機会として現代らしく「高」の真ん中を口でいくことにしたが
本来はハシゴだった、と話していたことを思い出す品になりました。

更にデザイン決めの際に「人」の文字が篆書だと「入」「尼」に見えてしまうと
我儘を申した件、各文字のサンプルを送って頂きましてお手間を取らせてしまい
申し訳ありません。

最後に、他店では無理だった仕事を遂げて頂き大変有難うございました。
貴店でも無理だった場合は諦めてチタン辺りで作ろうかと考えていた矢先に
お引き受け頂いたことで父の形見を残すことが出来ました。
重ね重ねお礼申し上げます。

貴店の益々の御活躍をお祈り申し上げます。

     ▲1辺、15ミリの正方形の上部に円形の枠を作ります。直径は14ミリ位です。
      印面の文字は個人情報なので、ペイントの機能で赤く塗ってあります。

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