東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



象牙印材のリフォーム

2021年01月16日 お知らせ

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 先日、岐阜県のお客様からのご注文で、象牙印材の外枠のリフォームをさせていただきました。外枠(印鑑の輪郭部分)が二カ所、欠けていました。一カ所の欠損部分は欠けて落ちた部分があり、まず、お客様ご自身でアロンアルファーで貼り付ける作業を行われました。完全には枠がつながらない状態で当店に送られて来ました。

 メールとお電話で打ち合わせをして、一度、文字の彫刻面を平面にしてから、再度文字を彫ることのご了解をいただきました。外枠が欠けた場合のリフォームには2種類方法があり、

1.70%近い印影に再現する。銀行さんに届けている場合、印鑑の改印届をしていただく。

2.95%から上の精度で元の印影通りに再現する。この場合は改印届は不要。

両方をご提案しましたが、2.の95%再現をご希望になりました。お値段は1.の場合のおよそ2倍ですが、元の印影の再現の方をお取りになりました。

 印材(印鑑の材料)をお預かりしての同型印(元の印影通りに再現)は安心してご注文を受けられます。紙に押捺された印影のみから、同型印を作成する、これは印鑑を紛失して本当に困っている方を助ける場合もあり、また一方で何かの犯罪に加担する可能性もあります。印材が無い場合の同型印作成は受注時にかなりの慎重を要します。

 納入後にこのお客様から頂いたメールの一部分です。
「欠けたときはすごく不安でいろいろ検索しましたが、楽善堂さんに依頼してよかったです。」

 私からは返信で「ありがとうございます。職人冥利です。」と書かせていただきました。

印影は個人情報なので、判読しにくい文字ですがホワイト修正液で消しました。
今回の同型印の仕事は2箇所の外枠欠損がありました。時計の8時位置にある欠損は、かけらをお客様がアロンアルフアーで貼ったあとです。高さが彫刻面より高いため、すぐ隣の文字が印字できませんでした。印刀(いんとう、はんこを彫る刃物)でかけらを除去して、印影を取りました。その後に平面にします。



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