東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



象牙印材の鞘(さや)調整

2020年11月06日 お知らせ

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 印材(印鑑の材料)の中で、鞘(さや・キャップのこと)が付いている印材があります。主には、個人用でなく法人・会社用の印鑑です。個人用の印鑑でも、象牙のような高級な印材になると、鞘付きがあります。

 在庫を調べていたら、象嵌職人、山崎民生(みんせい)氏の銘入りの金丹入り(上の位置を示すための金色の小さな長方形)がありました。本体と鞘との相性を確認するために、鞘を付けたり抜いたりしてみたら、固くてスムーズに抜けない印材がありました。

 こんな時は、印鑑を彫る印刀(いんとう)の側面部分を使って鞘の内側を少しずつ削って調整をします。直径が15ミリ以上の印材ならば、ドライバーのような木の取っ手付きの工具もあります。今回、直径13.5ミリも印材もあり、これは印刀で削るしか方法がありませんでした。

 頻繁に使う法人用印鑑は、押捺の後、側面に付いた朱肉が糊のように働いてしまい、鞘が抜けにくくなります。当店にご持参いただければ、お代金は無料で調整させていただいております。

左手にある道具のうち、右側は印刀、左側は鞘削りの工具です。
象牙の鞘を内側から削ったらかなりの量の削りカスが出ました。


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