東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



はんこ不要論(新聞記事より)

2020年07月04日 お知らせ

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 今日、7月4日(土)の東京新聞、朝刊に下記のような記事が掲載されました。コロナ禍の中、在宅勤務でも押印のために出社せざるを得ない、というものです。日本政府の規制改革推進会議は、テレワークを後押しするために、銀行の口座開設時にも押印を不要とする方針を示しました。

 昭和のある時期までは銀行口座にある預金を引き出すのに、銀行印を押捺する必要がありました。その後はキャッシュカードと暗証番号だけでATMから現金が引き出せるのですから、預金引き出し時に銀行印の出番がなくなりました。口座開設時にのみ、現在では必要になっています。

 フルネームを彫ることの多い実印は今でも必要であり、「本人を確かに証明するもの」としてしっかりと役目を果たしています。自動車の購入、不動産の売買、遺産の相続時など、人生の重要な場面では印鑑証明書の添付と実印の押捺を求められます。このように趣味の分野でなく契約などの実務ではんこを使っているのは、世界の中で今では日本だけです。外国では契約時に「はんこ」を捺さないのだから、『日本の文化、日本の特徴、日本らしさ』を今後も残していくことは、 はんこ職人の私としては とても大切と考えています。

7月4日(土)の東京新聞です。はんこ、そしてはんこを捺すこと、これは文化です。


コメント

  1. 民生愛用者 より:

    以前象牙印章を楽善さんで彫刻していただいた者ですが現在印章はほとんどの業者さんが印相、開運をうたうのが印章不要論に拍車をかけていると私は思います。美しい印影、確かな印材を求め個人の責任を果たす道具が招き猫並みの開運グッズに成り下がってる現在愛想を尽かされるのは当然です。モチーフ印鑑や萌え印が登録可能であれば拇印でいいではないですか?私もこんな滅茶苦茶な業界であれば今の世には不要であると思います。

    • inkanreform より:

      拝復 民生愛用者 様
      象牙の印章を当店でお作り頂きありがとうございました。まず、他の読者の方のために「民生」について説明させて下さい。
      「民生」は、山崎民生さんという象嵌(そうがん)職人の名前です。もう他界されましたが、象牙の印材などに金・銀を
      薄く伸ばしてはめ込む象嵌細工の職人です。印材で上の位置を示す小さな長方形の物から、鶴の絵柄・山水画などもあります。
       さて、ご指摘の印章(はんこ)が開運グッズに成り下がっているというご指摘、ある意味では当たっているかも知れません。
      我々、業界人も商売で印章(はんこ)を扱っているのでお客様から「開運の、印相の良い書体で作ってほしい。」というご希望が出た場合には
      ご希望に合わせざるを得ません。私の場合、開運や印相について聞かれた場合には「はんこだけでは運勢は変わりません。お客様のお気持ち次第です。」
      とお答えしています。
       昨今の印章(はんこ)不要論の一番の原因は、テレワークの仕事に支障を来たすことで、コロナ禍がこれに拍車をかけた、と言う見方をしております。
      広い世界の中で、現在、日本だけが実務で印章(はんこ)を使っているので、はんこ、印章制度に関してはもう少し、長い目で見ていて下されば、と
      思います。楽善堂 四代目店主 拝

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