東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



印材キャップの調整を行なう

2015年04月11日 店舗経営 接客

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

4月も10日を過ぎましたが、まだ肌寒い日が続きます。
先日、会社の実印(登記印)の鞘(さや、キャップのこと)の内径調整をしました。通常の個人の印材には鞘はありませんが、会社の実印の場合は印材の中間位置が中に細くなる形状で、鞘が付きます。

5〜6年前に新しくできた鞘付きの印材は、「プロさや」といって、鞘の内側に薄い白色ABS樹脂が張ってあり、鞘が本体から抜けにくくなったり、逆にゆる過ぎてすぐに抜けてしまう現象を防げるようにできています。ところが、今回は「プロさや」でありながら、鞘が硬くて印材が入りにくくなりました。印材を入れていくと途中で空気を圧縮してリバウンドしてきます。

半年ほど前に納入した、白い水牛の印材でしたが、その時の鞘は丁度良い加減でした。お客様のご都合で、ほとんど使用していないまま社名変更、印材を再利用して彫り直すことになりました。お持込いただいた印材の鞘加減を試してみると、硬くなっていました。寒い時期、乾燥している時期を過ぎてくると鞘が硬くなるようです。白色樹脂があるので、内側から印刀(いんとう)で削って緩く(ゆるく)調整ができません。問屋に頼んで、白色樹脂の無い、昔の鞘を送ってもらいました。この鞘が樹脂の鞘よりもさらに硬い。でも内側からは削っていけます。鞘削り専用の工具と印刀を使って丁度よい緩さ加減の鞘を作ることができました。これも職人の仕事のひとつです。



▲中位置、右端の2つが、鞘(さや)です。右がABS樹脂張り、左は昔からあるABS樹脂無し、素材だけの鞘です。
右下にある粉は鞘の削りカスです。右上は工具と印刀です。


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