東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る
印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ



おじい様の実印、姓の文字をそのまま、お孫さんの実印へ

2023年03月07日 お知らせ

印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて125年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

 先日、印鑑リフォームの仕事で東京都区内のお客様から次のようなご希望をいただきました。「書体については吉相体を希望します。現在彫ってある書体に近似したものを希望します。」お彫りする文字で姓(ご苗字)は変わらないので、旧の印鑑の文字をそのまま使い、下のお名前部分は、姓の文字と同じ作風、線質で印稿(仕上がりのラフデザイン)を書いてメールでお送りしました。

 OKのお返事をいただいて彫らせていただきました。納品後にこのお客様から大変嬉しいメールをいただきました。ご了解をいただけたので、掲載させていただきます。ご了解のお返事の時に「第三者が読むと少しわかりづらいので言葉を補って整えました。」と推敲なさった文章もいただきました。

 

 父の形見の実印を、社会人となる子供の実印に彫り直していただきました。
こちらの希望通りに、彫り直しの前の書体や作風を踏襲して刻印していただき、
父の実印の名残を残して子供の門出に添えることができました。
健康で長生きだった父の形見は孫の人生を見守ってくれると思います。
ネットショップは対面販売ではないので、心の伝わる買い物とは
程遠いものと思っておりましたが、そんなことばかりではないと
いうことを知りました。
ご対応感謝いたします。ありがとうございました。

 職人の私としては「お客様に喜んでいただける仕事ができた。」の思いでいっぱいです。おじい様が愛用なさっていた実印をお父様が息子さんのためにお名前部分だけを変えて作り変えた、小さなファミリーヒストリーを感じました。このお客様からのメールはとても励みになりました。

▲黒水牛の印材、長さでの3種です。左から60ミリ、45ミリ、36ミリ、です。
現在はほとんど、長さ60ミリになりましたが、昭和の時代には短めの印材もありました。
印鑑リフォームでお預かりする場合、特に短めの印材は、リフォーム後に長さが極力短くならない
ように気を遣い、元印材の長さと僅差となるように短くします。


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